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住所:東京都大田区山王1-4-6/【日祝・水休診】

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ナローバンドUVB、エキシマ | 大田区大森の大木皮膚科

ナローバンドUVB・エキシマライト

乾癬・白斑・円形脱毛などに有効な光線治療

《紫外線療法・ナローバンドUVB、エキシマライトならJR大森駅の大木皮膚科までお気軽にご相談ください。》

 当院では平成20年より部分型ナローバンドUVB(Waldmann社製 UV801BL)および平成24年よりエキシマライト(308エキシマシステム)を導入して、尋常性白斑・尋常性乾癬・円形脱毛症などの治療に取り組んでおります。
 紫外線治療に反応しない難治性の白斑では、連携病院へご紹介して表皮水泡蓋移植を行っていただく場合もあります。

ナローバンドUVB・308エキシマ
◆紫外線療法(ナローバンドUVB)ご希望の方は、問診表にナローバンドUVB希望とお書き下さいますようお願い申し上げます。


※本ホームページをご覧頂きありがとうございます。特に、白斑では少なくとも治療効果を上げるために週2回の通院が必要となります。また、全身の白斑治療には当院は対応しておりません。治療効果を上げるためには、照射範囲を絞って強さを上げていかないと効果が得られないため申しわけありません。

※当院では基本的に「アトピー性皮膚炎・痒疹」に対してナローバンドUVB・エキシマは行っておりませんので、ご了承下さい

ナローバンドUVBとは・・・

ワルドマン・ナローバンドUVBナローバンドUVBとは、乾癬、白斑、アトピー性皮膚炎などに有効な新しい紫外線療法です。当院では平成20年12月より導入いたしました。くわしくはお問い合わせください。

 これまで日本においては、外用療法にて効果の乏しい乾癬などの症例に対して、中波長紫外線(UVB)療法やソラレンと長波長紫外線(UVA)を用いたPUVA療法が行われてきました。

 近年欧米にてParrish&Jaenickleは乾癬に対する有効波長を検討して、304-313nmの領域は最小紅斑量以下でも治療効果があることを明らかにしました。さらに紅斑誘起作用の強い短波長側のUVBをカットする工夫がなされました。このナローバンドUVB(NB-UVB)は中波長紫外線領域に含まれる非常に幅の狭い波長域(311±2nm)を持った紫外線で、オランダフィリップス社で蛍光管(フィリップスTL01)が開発されると共に治療法として1990年代より海外において普及し始め、現在では乾癬を初めとして、アトピー性皮膚炎、白斑、円形脱毛症、多形日光疹、菌状息肉症の治療に用いられています。薬をつけたり、飲んだりする手間がなく、照射時間が短く簡便で、しかもPUVA療法に匹敵する効果があるため、本邦でも急速に普及しています。安全性が高く、小児や妊婦にも使用可能であり、従来の治療法にナローバンドUVBを組み合わせる事によって内服やステロイド外用の量を減らすことが期待できます。

 その作用機序としては不明な点も残ってはいますが、T細胞のアポトーシス誘導、サイトカイン抑制などが効果的に行われるためと考えられています。通常のUVBと較べて短い波長が少なく、サンバーンを起こしにくいため照射量を上げることによって治療の有効量に達しやすいと考えられます。

 乾癬においてもビタミンD外用剤との相乗効果はかなり以前より報告されており、最近でも共に用いることによって治療に要するUVBの照射量がかなり削減されるとの報告がなされています。しかし最近紫外線によるビタミンDの分解が報告されており、使用に当たっては照射後に外用することが大切です。 

※当院では、Waldmann社製 UV801BL(部分照射型)が設置されており、ランプハウスが治療部位に対して凹のため均一に照射できる、ランプ性能が安定している、照射J(ジュール)数の入力のみで操作可能などの特徴があります。

◆適応疾患
1)尋常性乾癬
2)掌蹠膿疱症
3)尋常性白斑
4)類乾癬
5)アトピー性皮膚炎
などに保険適応でありまたほかにも
・結節性痒疹
・円形脱毛症
などへの有効性も報告されています

◆治療方法
 まず、テスト照射を行いMEDと言われる最小紅斑線量を判定します。測定結果は翌日に判定しますので必ず2日間連続して来院できる日にいらしてください。MED(最小紅斑線量)の判定ができましたら、その50%くらいの線量から照射を開始します。そして、淡い紅斑がみられるぐらいまで徐々に線量を増加していきます。
原則として週に2~3回の通院が必要ですが、やむを得ない場合は週1回の通院で行います。
簡便な方法として正常部位に0.2-0.3J/cm2ほど照射して、紅斑反応がないことを確認しつつ、照射量を0.1Jすつ上げていく方法もあります。

◆この治療を受けられない方
・光線過敏症のある方
・皮膚悪性腫瘍の合併・既往のある方
・免疫抑制剤内服または外用中の方

※当院のWaldmann社 UV801BLの動作状況動画をアップしました⇓

※当院では、夜7時まで診療を行っている日があり、通勤帰りにもご活用いただけます。
※ナローバンドUVB治療をご希望のかたは、受付時にその旨お申し出ください
※大田区、品川区から乾癬、白斑、円形脱毛症など多くの方が治療に来ております。

 

紫外線療法の副作用

ナローバンドUVBの波長の特徴

 一般に、ナローバンドUVBの副作用としては、皮膚の赤み、色素沈着(日焼け)、ほてり感、ヤケドなどがありますが、他の紫外線療法より起こしにくいと考えられています。また1MED(最小紅斑量)以上を照射することで高度の紅斑を生じることがあります。光発癌のリスクに関してはまだ不明な点もありますが動物実験、臨床データよりUVBと同等前後のリスクもしくはそれより少ないと考えられています。小児(10歳以上)や妊婦にも使用可能とされ、目安としては最大500回照射、総照射量230-240J/cm2というところのようです。

※照射中には陰部で感受性が高いことからパンツを着用し、紫外線障害を防ぐ目的で紫外線カットゴーグルを着用します。

◆当院に設置されているナローバンドUVB装置

ナローバンドUVB収納時 ナローバンドUVB使用時
Waldmann社製 UV801BL ;収納時 Waldmann社製 UV801BL ;治療時

 

適応疾患とその有効性

1.乾癬(かんせん)
  治療法は標準プロトコールに沿う。有効率の報告は、週3回、4週間照射した場合73%で改善が見られ1年後の緩解率は38%とするもの、週2-5回照射で合計20回程度の照射で改善が認められたとするもの、5-10回で改善傾向が見られ、15-25回で治療の継続がいらなくなるとするものがある。また、直後にビタミンD製剤の外用を併用することで照射量を減らせるとの報告がある。

2.尋常性白斑
  第1の治療法として推奨される。有効性はあきらかでありPUVAと同等の効果があると言われている。週1回照射半年での改善例や週1-2回で計30-40回で改善との報告、週2-3回照射が標準との報告がある。顔面にも照射可能であり、小児例ではやや少な目から始める。一方、手足の白斑では反応が悪いものの80%の症例で25%の色素がみられ、53%で73%以上の色素の改善がみられたとの報告もある。少なくとも半年間は継続し、1年以上継続した例も報告されている。

3.アトピー性皮膚炎
  標準的なステロイドや保湿剤外用で満足が得られないものに第2選択として使用される。また、慢性期の軽症~中等度の症例に適応される。1週3回の照射で12週後にスコアが68%改善が見られたとの報告がある。また、88%でステロイド外用の減量が行われた。照射上限を乾癬などより低めにすると良い。

4.その他
  掌蹠膿疱症、円形脱毛症、結節性痒疹での有効例が報告されています。

※皮膚の紫外線療法に関することは、当院までお気軽にお問い合わせください

エキシマライトとは

エキシマライト・308エキシマ エキシマライトとはXeCl(キセノンクロライド)光源を用いたUVB照射装置で、308±2nmの単波長を選択的に高出力で出すシステムです。308nmエキシマライトは別名ターゲット型ナローバンドUVBとも言われ尋常性乾癬や尋常性白斑などUVB療法が適応とされている皮膚疾患に有用であり、さらに、掌蹠膿疱症、アトピー性皮膚炎、結節性痒疹、円形脱毛症など種々の難治性疾患に安全かつ有効な治療法であることが近年報告されています。

 照射が比較的小さいため健常部への紫外線照射を避け、病変部だけに従来の100倍以上のエネルギーで限局的に照射でき、1回あたりの照射時間は数秒、かつ少ない治療回数で効果を出すことが可能になっています。治療効果を感じられるまでの時間が短い、かゆみがおさまるのが早い、他の治療に抵抗性な病変への適応など、期待の最新紫外線治療です。具体的な照射プロトコルは、最少紅斑量(MED)またはスキンタイプを基準として設定される場合が多く、比較的少量から漸増する方法も採用されています。

 リスクのある波長は限りなく抑えられており副作用は少ないとされますが高出力であるが故に、短期の副作用として照射部位の紅斑、水疱形成、色素沈着(日焼けと同じ)が見られる場合があります。

◆308エキシマーシステム
308nmにピークを持つ波長 当院のエキシマライトは、フランスQuantel Medical社製の
308エキシマーシステムを採用
しており、従来国内で評価の高かったVTRACと同等の出力能を持ち連続照射も問題なく行えるハンディ型の紫外線治療機です。ホース式の器機と違い照射部位の自由度が高く専用アタッチメントにより患部を直接確認しながら細やかな施術が可能です。ナローバンドUVBと同様、内服や塗布、照射後の遮光の必要がありませんが、週に1,2回の通院が必要となります。

◆ナローバンドUVBとエキシマライトの比較

  ナローバンドUVB   エキシマライト  
波長  304-313nm 308nm
照射範囲 広い 狭い(4×4cm)
照射時間 1~5分  1~5,6秒
照射出力     1    100倍
治療頻度  週1,2回  週1,2回
効果がでるまでの回数    10~30回位   5,6~20回
治療中の副作用  発赤、色素沈着  水胞、発赤など

※特徴としてナローバンドUVBは広範囲に照射可能なため、乾癬、白斑、円形脱毛、アトピーなどの比較的広い範囲の治療に向いており、一方エキシマライトは広範囲は不得意ですが、狭い範囲の難治性病変(鱗屑を伴う乾癬、局所の難治性白斑・円形脱毛、痒疹など)に向いていると言えるでしょう。
【関連情報】

ヤヨイ 308エキシマシステム
ナローバンドUVBのヤヨイ 308エキシマシステム

エキシマライトの治療効果について(国内文献)

308エキシマの治療 当院に導入された308エキシマ
308エキシマシステム

◆乾癬、白斑に対するエキシマライトの有用性
 尋常性乾癬の紅斑局面に対しては数回の治療で7例中7例(100%)が軽快傾向を示し、7例中3例(42.9%)で治療部位の紅斑は消退した。尋常性白斑は11例中8例(72.7%)において種々の程度に色素再生がみられた。尋常性乾癬、尋常性白斑症例の中には、NB-UVB療法で効果が乏しかったがエキシマランプに反応した症例もあり、これら疾患に対する本療法の優位性を確認した。これは、元来光線療法の適応が低いと考えられていた真皮を主座とする疾患においても本療法が有用である可能性を示唆している。

◆乾癬におけるエキシマライトの効果
 308nmエキシマレーザーといったUVB照射による尋常性乾癬の治療が行われている.尋常性乾癬の治療は外用剤に抵抗性の場合は光線療法が用いられるのが一般的であるが,光線療法に際しては,少ない照射回数で,しかも乾癬罹患部位にのみ照射が可能であるターゲット型照射が理想と考えられるようになった.ターゲット型照射として,308nmエキシマライトは今後の乾癬治療における有望な治療法である.

◆痒疹結節に308nmエキシマランプを施行したアトピー性皮膚炎
 アトピー性皮膚炎などでみられる痒疹結節は非常に強い痒みを伴い、従来の治療に抵抗性であるため、患者のQOLを低下させる一因となっている。最近、エキシマランプの有用性がいくつかの皮膚疾患で報告されている。ステロイド外用、抗ヒスタミン薬、抗アレルギー薬の内服に加え、全身のnarrow-band UVB(NB-UVB)療法を行ったアトピー性皮膚炎の1例において、残存した下腿の痒疹結節に対しエキシマランプの照射を試みた。エキシマランプ照射により痒疹結節は平坦化し、痒みも著明に改善した。エキシマランプは比較的短時間で効果があり、QOLや治療コンプライアンスの面からも優れた治療法と考えられる。

◆308nmエキシマランプによる円形脱毛症の治療
 円形脱毛症はT細胞を介した自己免疫疾患と考えられている。308nmエキシマランプはin vitroでT細胞アポトーシスを誘導できることから、円形脱毛症の治療にエキシマランプを2週間に1回照射した。その結果、約10回の治療後に3名とも発毛が認められ、308nmエキシマランプ照射は孤立性円形脱毛症病変において発毛を誘導することが分かった。副作用としては紅斑、色素沈着、灼熱感がみられたが、その程度は軽微であった。本法は難治性円形脱毛症の治療法になり得ると思われた。

当院のナローバンドUVB治療へのこだわり

・当院では、ナローバンドUVB治療装置を平成20年より設置・治療を行っており、多くの乾癬、白斑、掌蹠膿疱症、円形脱毛症、アトピー、痒疹などの患者さんが通院されております。
・一方、乾癬の鱗屑の厚い病変、白斑の一部などでは治療の反応が悪い方がおり治療回数が多くなってきていました。308nmエキシマライト(ターゲット型ナローバンドUVB)は照射範囲は小さいのですが、照射パワーが大きいという特徴があり、ナローバンドUVBで治療しきれなかった難治性病変への効果が期待されます。 

 

中波紫外線療法の講演ポスター
平成24年11月18日 アブソルート主催  
308エキシマシステム 講演会
「中波紫外線療法の現状と可能性」
において講師をさせていただきました。クリニックにおけるナローバンドUVBとエキシマライト療法の現状と展望につきご報告しました。

 

尋常性乾癬(じんじょうせいかんせん)

どんな病気?

乾癬の発生誘因 皮膚のターンオーバーが4 ~ 7 日と著しく早まり赤みがある局面にカサカサした厚い鱗屑(りんせつ)、落屑(らくせつ)を認め、痒みを伴うこともあります。はっきりした原因は分かっていませんが、何らかの遺伝因子に気候の変化、精神的ストレス、疲労、感染症、食生活などの環境因子が加わり発症するものと考えられています。

 白人にやや多く、日本人では中年以降の男性にやや多い傾向にあります。以前は、まれな病気でしたが、近年の生活習慣(食生活の西洋化など)の変化や、ストレスの増加など、さまざまな要因から、患者さんの数は徐々に増加し、現在日本には、約10万人の乾癬の患者さんがいます。

 症状は年余におよぶこともあり、肘、膝、臀部、頭部など四肢外側のこすれやすい部分に出やすく、良くなったり悪くなったりを繰り返します。皮疹は、大きさ、形がさまざまで、症状が進むと数が増え、いくつかの皮疹が一緒になり全身に及んだりします。約半数の方にかゆみがみられ、爪の変形や関節炎(爪乾癬、関節性乾癬)を伴うこともあります。症状が進行すると、人目が気になり温泉に入れない、旅行に行けないなど日常生活に支障をきたすことも問題です。
       尋常性乾癬の症状

診 断

肘、膝などに出やすい 典型例では、特徴的な発疹、その分布、経過から診断が可能ですが、皮膚生検をして診断を確定することもあります。乾癬の皮疹の特徴として、厚い鱗屑をこすり剥がすと点状の出血が見られます(Auspitz現象)。正常な皮膚が外部からの物理的刺激で同一の病変が生じることをKoebner現象と言います。
 病理所見では、ターンオーバーが異常に亢進しているので表皮細胞は核を残したまま角層を形成するようになります。また,角質肥厚や角層直下には好中球による無菌性膿瘍〔マンロー微小膿瘍〕がみられます.

治療

【外用薬療法】

前腕部にでた乾癬の皮疹ステロイド
 皮疹が比較的狭い範囲に出ている場合に多く使われます。短期間で効果が得られますが、長期間塗り続けると皮膚が薄くなるなどの副作用があります。
●ビタミンD3誘導体外用(オキサロール、ドボネックス等)
 ステロイドのような、皮膚菲薄化が見られないが効果発現までに時間を要するため、ステロイド外用剤とともに、良く使用される。ステロイドとともに塗布する方法、交互に塗る方法などが行われます。
●保湿剤
 乾癬のかたは、乾燥を伴っていることが多いため保湿剤も使用することが皮疹のコントロールに効果的です。

◆ドボベット軟膏とは・・・本邦初の活性型ビタミンD3とステロイドの配合外用剤

 活性型ビタミンD3(ドボネックス軟膏)とステロイド剤(リンデロンDP軟膏)を含有する配合剤であり、レオファーマ社(デンマーク)で開発され既に世界90カ国以上で尋常性乾癬治療のスタンダードとされています。ビタミンD3製剤とステロイド剤は安定pHに大きく違いがあり、混合すると化学的に不安定とされますが、レオファーマの独自技術(pHITech)により2つの薬効成分が単一の基剤中に安定状態で配合可能になったとのことです。

ドボベッド軟膏ボベット軟膏は、単剤使用に比べて(1)併用による有効性・安全性の向上、(2)簡便な使用、(3)塗布時間・回数が減ること11回塗布)による外用療法のコンプライアンス向上――といった臨床有用性が期待できるとされます。

配合されているステロイドがvery strongクラスのため、顔面は塗布しないこと。
ドボベット軟膏の薬価276円に対してドボネックス軟膏の薬価138+リンデロンDP軟膏の薬価29.5円となります。11回で充分な治療効果があるとされるものの若干高めなのが欠点です。

【光線療法】

●ナローバンドUVB
 311±2nmの中波長の紫外線を照射します。効果はPUVAと同等と言われ、小児、妊婦さんにも使用できます。外用療法で治療効果がない場合の次の治療法として選択されることが多い。
●エキシマライト
 乾癬に対する新しい光線療法で308nmの準単光色を照射します。治療できる範囲は狭いですが、ピークパワーが強く厚い鱗屑を伴う病変部にも効果を発揮します。
          乾癬治療の使い分け

 

※ナローバンドUVB、エキシマライト治療をご希望の方は当院までお問い合わせください。

 

【内服薬療法】

●免疫抑制剤; シクロスポリン(ネオーラルなど)
 移植における免疫反応を抑える薬として開発されたものですが、乾癬にはごく少量で高い効果があります。副作用が出ることもあるので定期的な検査が必要です。
●チガソン
 ビタミンAの誘導体で、男女とも内服中に子供ができると赤ちゃんに奇形が生じる危険が高いので、処方に同意書が必要です。

【注射薬 ;生物学的製剤】

 抗TNF-α抗体であるレミケード、ヒュミラが、乾癬の保険適応を追加されました。乾癬ではTNF-αによる刺激により皮膚のターンオーバーが亢進しており、これを阻害することにより病勢を沈静化させます。これらの薬剤は大学病院などの一部の高次医療機関でしか治療を受けられません。

※関連記事乾癬の紫外線療法について

 

掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)

手にできた掌蹠膿疱症 掌蹠膿疱症とは手掌の母指球部や小指球部、足底の土踏まず部水疱(みずぶくれ)、無菌性の膿疱(うみを持ったプツプツ)、りん屑(ふけの様な皮むけ)ができ周囲は紅斑となり,融合して局面を形成する病気です。爪の点状陥凹や肥厚が高頻度にみられ、膿疱は2 ~ 4 週間で繰り返し発生して慢性に経過します。海外では、乾癬と同じ分類の疾患と考えられています。水虫と症状が似ているため間違われやすく注意が必要です。

合併症として骨や関節が痛くなることもあります(特に鎖骨のあたり)。掌蹠膿疱症は慢性で長引きますが、数年くらいで治る場合も多いといわれています。掌蹠膿疱症の原因はよくわかっておりませんが、扁桃炎、歯周病、副鼻腔炎(蓄膿)、中耳炎、金属アレルギー(インプラント、歯の詰め物)、長期の喫煙との関係があると言われています。歯の金属アレルギーは当院でも検査しております。
      掌蹠膿疱症の臨床写真
 治療は外用治療が第一選択です。副腎皮質ホルモンの外用とビタミンD3の外用などです。外用療法のみで、症状が改善しない場合にはナローバンドUVB、エキシマライトなどの光線治療が有効な場合もあります。他には抗アレルギー薬内服、ビオチン内服、歯科金属の除去、扁桃摘出手術などの病巣感染除去があります。日常生活では喫煙や咽頭炎は悪化因子と考えられており、たばこは控えめに(禁煙が望ましい)、うがいを良くしましょう。

掌蹠膿疱症の治療薬※当院において掌蹠膿疱症では現在エキシマライト療法をメインに治療を行っております。程度にも寄りますが30~40回位の照射で症状寛解が得られる印象です。
※水虫の有無も時々検査させていただく必要があります。 タバコは避けて、うがいをする

※関連記事掌蹠膿疱症の紫外線療法について

 

尋常性白斑

 どんな病気?

白斑のイメージ 俗に言う「しろなまず」です。突然くっきりとした色の抜けた皮膚面がカラダの一部に生じます。なかには、全身の半分近くまで白斑が及ぶ方もいます(分節型、汎発型白斑)。くわしい原因は不明ですが、後天性に皮膚の色素細胞(メラノサイト)を自分の免疫機構が攻撃するため(自己免疫疾患)と考えられています。発症のきっかけは、日焼けや、外傷などによる皮膚への刺激やストレスが誘因になることがあります。
 発症後、早期に治療を行った方が反応がよいと言われています。症状の安定する時期、進行する時期を繰り返しながら増えていくことが多いです。白斑を持つ方の中には甲状腺異常など自己免疫疾患を合併することが1割くらいの方であるようです。
        白斑の臨床写真

原因・診断

 本来ならば細菌などから体を守る白血球など自己免疫の攻撃によって、皮膚の色を作っているメラノサイト(色素細胞)が消失することにより発症します。白斑は人にうつる病気でもありませんが、“見える”ということから社会生活上の問題を生じます。とくに露出部にもよく発生しますので、治療を希望して来院される患者さんが多いようです。
 診断は色素脱失の分布より判断して行います。アトピーなどの皮疹を掻破したあとの炎症後色素脱失、高齢のかたにできる老人性白斑、サットン母斑などが鑑別診断となります。

治療

【外用療法】

・ステロイド外用、フロジン液308エキシマのよる治療イメージ
 初期の白斑や再生した色素細胞への刺激を期待して処方されます。
・プロトピック軟膏
 免疫抑制剤の軟膏で、顔面など紫外線治療が行いにくい部位で有効であったとの報告があります。アトピー性皮膚炎に適応がありますが、白斑には保険適応がありません。
・オキサロール外用(ビタミンD製剤)
 光線療法のあとに、併用することで色素細胞の再生を促すとの報告があります。

【紫外線療法】
・ナローバンドUVB
 現在ナローバンドUVBが白斑治療の第1選択とされ、ステロイド外用、ビタミンD軟膏外用も併用されることもあります。紫外線治療が効く理由として免疫反応を抑えてメラノサイトへの攻撃(自己免疫)を弱めるためと考えられています。治療のはじめに最小紅斑量(MED)を測定して、その方に合った照射量を決定します。通常、10-20回程度の照射を週1,2回の頻度で行います。
・エキシマライト(ターゲット型ナローバンドUVB療法)
 新しい紫外線療法で、従来のNB-UVB治療で反応の悪い白斑に対して用いられます。照射できる範囲は小さいですが、NB-UVBの数倍以上の照射パワーがあると言われ、より深い真皮レベルまで効果を発揮します。
【手術療法・その他】

・吸引水疱蓋移植、ミニグラフト
 紫外線治療単独で反応の悪い白斑に対して行われます。正常部分に表皮を採取、もしくは生検用パンチにて皮膚片を採取して白斑部分に移植します。小範囲であれば通院で行うことも可能ですが、移植した部分は1週間程度の安静を必要とします。移植後にさらにNB-UVBを併用することで色素の再生を促します

表皮水疱蓋移植

・カバーマーク・ハイドロキノン
 色素再生が行われない症例に対して対症療法として行われます。白斑部にメークを行い色素脱失を隠す方法、もしくは正常部分をハイドロキノンで色素を薄くして白斑の境界部を目立たなくする方法などが試みることがあります。

※ナローバンドUVB、エキシマライト治療(メル療法)をご希望の方は当院までお問い合わせください。
※一般的な、紫外線治療の適応年齢は10才以上と考えられていますが、白斑治療においては発症早期であるほど治療効果が高い印象です。1-2年以上放置した白斑では反応が悪く、出来てから半年以内のものでは比較的治療に対する反応がよいです。お子さんでも、あまり長い間放置するより早めに治療を行った方がよいと思います。

※吸引水疱蓋移植のみの治療はお引き受けしておりません。単に表皮移植をおこなっても紫外線治療を行わないと数ヶ月で色素が落ちてしまいますので、必ず紫外線治療とセットで行う必要があるからです。

※関連記事白斑の紫外線療法について

 

円形脱毛症(えんけいだつもうしょう)

どんな病気?

 自覚症状や前駆症状等を欠き、頭皮に突然10円玉大の円形脱毛斑を生じる疾患です。 はじめは孤立円形脱毛症性ですが、次第に2~3カ所に増大することもあります。数か月で自然治癒することが多いですが,多発する場合は汎発性脱毛症へと進行することがあります。頭髪のほか,眉毛,ひげ,四肢の毛などに認められる場合もあります。爪に横筋や小さな凹みが無数に出来たり、爪自体が歪んだりする症例が見られることもあります。活動性のものでは脱毛辺縁の毛髪が容易に脱落し、それらは毛根部の形態より感嘆符毛”と呼ばれます。萎縮や瘢痕は残しませんが,慢性期に病巣部がわずかに陥凹する事もあるようです。一般に、2~3ヶ月の経過で自然治癒することが多いです。 

原因

毛根部にリンパ球が攻撃をする説明図 原因は不明ですが、毛母細胞が何らかの自己免疫や精神的ストレスにより傷害されると考えられている。多くの場合、毛の構造全体が破壊されるわけではないので治療によって発毛が期待されます。特に多発する症例では甲状腺疾患やアトピー性皮膚炎(アトピー素因)を合併する例があり,自己免疫疾患の関与も考えられています。また肉体的ストレス、ウイルス感染なども誘因の一つとなります。
 脱毛症患者の毛包内には大量の免疫T細胞がみられ、顕微鏡下では毛包にハチが群がって攻撃しているように見えるといわれます(右図)。毛包が攻撃されると毛が抜けるが、T細胞が残り毛包を休止状態にするため、円形脱毛症が生じるとされます。

診断

 臨床像から診断は容易である。発症初期の周囲の毛は容易に抜けるが治癒期に入ると抜けなくなる。症状により単発型、多発型 、多発融合型 、蛇行性、全頭型 、汎発型 (全身脱毛症)と分類される。円形脱毛症の年齢分布は、30歳以下で発症する割合が81.8%、特に15歳以下の発症が全体の4分の1を占めているなどやや若い世代に多い。

治療

 一般に、7割方の患者さんは通常の外用・内服治療に反応し、2~4ヶ月程度で軽快しますが、残りの2-3割の方では何らかの治療を追加しないと脱毛斑が増加する傾向にあります。全体の1割弱の方が多発性の脱毛症に移行するようです。普通、1つの治療法を行い2,3ヶ月継続しても反応が悪いときは次の治療へと進みますが、なるべく副作用が少ない治療から行っていくことも大切です。治療は通常2~4ヶ月程度はかかりますが、焦らず継続していくことが大切でしょう。

【外用剤治療】

・ステロイド外用外用剤をつかうイメージ
 毛包部で起こっておる自己免疫反応を抑え込みます。通常、乳液剤を処方します。
・フロジン液
 塩化カルプロニウムという成分で、再生した毛髪の血行を促進して発毛を促します。
※外用剤は1日2回、髪をゴシゴシこすらないように優しく頭皮をマッサージするよう使用します。

【内服治療】

・セファランチン
 セファランチンは植物より抽出したアルカロイド製剤で、蛇の毒などを解毒する薬としても用いられます。抗アレルギーや免疫力を高める効果が報告されている。
・グリチロン
 主要成分は甘草という植物に由来するグリチルリチンです。免疫調節作用や抗アレルギー作用、抗炎症作用などがあります。
※円形脱毛症に保険適応のある内服薬として上記2種類の併用が行われることが多いです。ガイドライン上のエビデンスは低めですが、効果が確かにある方もいますので、先ずはやってみるべき治療でしょう。

【ナローバンドUVB;紫外線療法】
 紫外線を使った治療方法で、病巣部分に照射する事によって過剰化したリンパ球・T細胞の抑制に効果があります。当院では、上記の外用・内服治療を行っても治療効果がない方、もしくは脱毛の進行が見られる方にナローバンドUVB治療を行っております。最近では、難治性の脱毛部にエキシマライトというターゲット型ナローバンドUVBが効果があるとの報告があります。以前に行われていたブロードバンドUVBに比較して確かな効果が出ています。

単なる脱毛症治療の目的のみでのナローバンドUVB治療は保険適応外(自費)になります。また、保険診療と自費診療の同日診察は認められておりません。多発性や汎発性脱毛症の症例では約半数にアトピー素因もしくはアトピー性皮膚炎が合併するとの報告があります。
        
紫外線の治療イメージ【凍結治療】
 刺激療法として液体窒素による凍結治療があります。脱毛部位に液体窒素をひたした綿棒を接触させて皮膚の免疫細胞を刺激します。

【ステロイド注射】
 脱毛部にケナコルトというステロイド注射を行います。直接、病変部分にステロイドを使って自己免疫反応を抑えようという治療です。副作用として皮膚萎縮(陥凹)などの副作用が出る場合があります。

【ステロイド内服】
 内服ステロイド剤は重度の汎発型であっても大幅な改善が見られます。また発症早期であればステロイドパルス療法なども効果を示します。

【局所免疫療法】
 スクアレン酸ジブチルエステル(SADBE)、ジフェニルシクロプロペノン(DPCP)などを用いて人工的にかぶれさせ、毛根を攻撃するリンパ球などの免疫反応を変化させる治療法です。ただしアトピー皮膚炎やかぶれが併発している場合、悪化する可能性があります。

治療上の注意

 通常の内服・外用での治療を行っていくことで少しずつ改善する場合が多い(約6~7割)ので、時間が掛かりまずが焦らずに治療していきます。あまり心配しすぎることもストレスになるので、のんびり治療するくらいの気持ちが大切です。多発する傾向がある方や難治例では紫外線治療を併用したり、液体窒素治療、漢方薬内服、人工的にかぶれを起こさせる治療などを組み合わせていきます。

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